ワールドキャンサーデー2021 活動報告
2021年
ワールドキャンサーデーにあたって
2020年は新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威をふるいました。がん医療は世界中で未曽有の事態に直面し、いまも多くの方々が、苦難のなかにおられると思います。感染症が人と人の繋がりを分断し、ソーシャルディスタンスという距離を私たちに強いている中、今年も2021年のワールドキャンサーデーを迎えることとなりました。
ワールドキャンサーデーは、2000年2月4日、パリで開催された「がんサミット」から始まったUICCの取り組みです。今年は2019年から3年間続いているキャンペーン「I AM AND I WILL」(私は今、そしてこれから私は)の最終年度にあたります。
人は誰でも社会のなかで役割をもって生きている。各々が各々の役割をもって、がんという病に立ち向かう力をもっている。この未曽有の事態に、私たちはあらためて、各々が自分自身の「これまでとこれからに」ついて深く考えることとなったのではないでしょうか。
UICC日本委員会では、2021年2月4日(木)のワールドキャンサーデーにオンラインで日本と世界をつなぐ「Light Up the World」を通じて日本各地を光でつなぐ瞬間を分かち合い、この苦難の中でがんに立ち向かう想いをひとつにしたいと思います。併せて、ワーキンググループセッション「I AM AND I WILL 誰ひとり取り残さないがん医療をめざして 」をオンラインにて開催いたします。今このときこそ、I AM AND I WILLの決意を分かち合うにふさわしい時であると考えます。
UICC日本委員会では昨年夏より各加盟組織とともに準備をはじめ、10月の広島の日本癌学会のブース展示にてその概要を公表いたしました。その後、各組織から集って頂いた方々とともにワーキンググループセッションを企画し、ワールドキャンサーデーという記念すべき日に、がんをとりまく様々な課題について語り合い、各々が、自分の役割を通じて、このがんという病にどう向き合うかを語り合い、未来を切り拓く決意を新たにする機会としたいとおもいます。
UICC日本委員会委員長 野田 哲生
厚生労働大臣 田村 憲久
がんを知り、がんの克服を目指す社会をつくります。
UICC日本委員会委員長 野田 哲生
世界と日本のがん対策をつなぎます。
I am the Minister of Health, Labor and Welfare. And I will create a society in which we strive to learn about cancer and overcome it.
Tetsuo Noda(L)
I am the Chairman of the Japan National Committee for UICC. And I will connect the cancer control measures of Japan and the world.
UICC日本委員会賛助会員
(五十音順)
- 協和キリン株式会社
- 日本放射線腫瘍学会
UICCでは3年間の「IAM and IWILL
わたしはいまそしてこれからわたしは」というそれぞれのがんに立ち向かう想いを伝えあうキャンペーンが続けられています。
ひとはみなそれぞれにがんにたち向かう力をもっています。 UICCは皆さんのがんに立ち向かう想いを繋げていくお手伝いをしていきたいとおもいます。お声をお寄せください。
wcdjapan@worldcancerday.jp
UICC日本委員会広報委員長 河原ノリエ
I AM AND I WILL
2019年から3年間のキャンペーンがはじまっています。テーマは「I AM AND I WIILL」(私は今、そしてこれから私は)。一人ひとりががん撲滅に積極的に関わり、行動を起こし、未来に影響を与える力を持つことを表しています。
ライトアップイベント
LIGHT UP THE WORLD
UICCワールドキャンサーデー2021
I AM AND I WILL
- 未来にひかりをつなぐ -
2021年2月4日[木]
17時30分~18時20分
ゲストのご紹介
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坂本龍一音楽家
Photo by zakkubalan ©2020 Kab Inc
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吉永小百合映画俳優
点灯式は、みなさまのご協力により無事終了いたしました。
ありがとうございました。
点灯式の様子は、下記からご覧いただけます。
開催日時 | 2021年2月4日(木) 17:30~18:20 |
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ゲスト | 吉永小百合(映画俳優) 坂本龍一(音楽家) |
UICC日本委員会 | 野田哲生(UICC日本委員会委員長・がん研究会がん研究所所長) 中釜斉(UICC日本委員会幹事・国立がん研究センター理事長) 河原ノリエ(UICC日本委員会広報委員長・東京大学特任講師) |
プログラム | イルミネーション点灯、トークセッション、フォトセッション
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主催 | UICC日本委員会 |
特別協力 | 東映株式会社 |
※坂本龍一さんはビデオメッセージでの出演のみとなります。
※点灯式開催については、新型コロナウイルス感染状況により予定を変更させていただく可能性がございますこと、予めご了承ください。変更の際は改めてお知らせいたします。
セッション
I AM AND I WILL
誰ひとり取り残さないがん医療をめざして
Aiming for cancer care that leaves no-one behind
1 交わる(Interacting)
がんを乗り越える力が交わっていく
~患者会活動~コロナの孤立・分断をどう乗り越えるか~
Bringing together the power to overcome cancer
Patient group activities: How can we overcome isolation and fragmentation caused by COVID-19?
患者会は患者さんたちが孤立せず知識と力を得ることや、がんという病気の啓発に大きな役割を果たしています。しかしコロナ禍は患者会のあり方を大きく変え、その意義を改めて問い直していると言えます。本セッションでは患者会で活躍する患者さんと医療者に、コロナ禍での活動と課題、そしてコロナ後の世界で「誰ひとり取り残さないがん医療」を実現するための患者同士の繋がりのあり方について話し合っていただきます。
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垣添忠生(座長)UICC日本委員会幹事・日本対がん協会会長
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麻倉未稀歌手・ピンクリボンふじさわ実行委員長
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小島康幸日本乳癌学会・聖マリアンナ医科大学乳腺・内分泌外科准教授
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土井卓子湘南記念病院乳がんセンター長・ピンクリボンかながわ代表
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吉田 久美子宮城県立がんセンター・サロンネットワークみやぎ
2 防ぐ(Preventing)
がんは予防できるのか?①
~どこまで予防についてわかっているのか?これから研究はどう進むのか?〜
Can we prevent cancer? (1)
How much do we know about cancer prevention? How will research advance in the future?
がんを予防することは我々人類共通の願いです。最近の研究から、がんの発生には生活習慣などの環境要因と、持って生まれた体質などの遺伝要因が複雑に絡み合っていることがわかってきました。それらを踏まえて今現在がんの予防がどのくらいできるのか、今後どのような課題が出てくるかなどを、UICC-Japanで最もがんの疫学に力を入れている愛知県がんセンターのチームが最新の研究動向を交えてわかりやすく解説します。
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高橋隆【ご挨拶】愛知県がんセンター総長
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伊藤秀美愛知県がんセンター研究所がん情報・対策研究分野分野長
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井本逸勢(座長)愛知県がんセンター研究所分子遺伝学分野分野長
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松尾恵太郎愛知県がんセンターがん予防研究分野分野長
3 防ぐ(Preventing)
がんは予防できるのか?
~女性のがん予防
Can we prevent cancer? (2)
Preventing women’s cancer
乳がんや婦人科腫瘍などの女性のがんは近年UICCの重点課題となっています。「誰ひとり取り残さないがん医療」の実現のためには、構造的な不平等に晒されやすい女性たちを積極的にケアする必要があるためです。本セッションではこれら女性のがんの予防について、行動変容による一次予防や、検診による二次予防、そして最近その有用性から推奨されるようになった遺伝性のがんへの予防的な対処などを、医療現場の専門家が解説します。
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藤也寸志(座長)九州がんセンター院長
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田村恵美子新潟県立がんセンター看護副部長・乳がん看護認定看護師
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藤井多久磨日本婦人科腫瘍学会・藤田医科大学産婦人科教授)
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町田洋一日本乳癌学会・医療法人鉄焦会亀田総合病院放射線科部長
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三冨亜希新潟県立がんセンター乳がん看護認定看護師
4 考える(Thinking)
みんなで考えよう①
~AYA世代のがん ~
Thinking about issues together (1)
AYA generation cancer
15歳~39歳までの思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult)を指す「AYA世代」のがん患者さんは、仲間や情報が少ないこと、妊孕性、家族やパートナーとの関係、仕事や学業との両立、外見の変化など多くの悩みを抱えていることが知られています。本セッションでは25歳で乳がんを公表し発信を続けている元SKE48の矢方美紀さんのご経験や、医療現場の実践を踏まえ、社会全体でAYA世代のがん患者さんを支えるにはどうしたらよいかを議論します。
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大野真司(座長)UICC日本委員会幹事・がん研究会有明病院副院長・乳腺センター長
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澤田守男医療法人財団足立病院 院長
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田部宏日本婦人科腫瘍学会・国立がん研究センター東病院婦人科科長
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矢方美紀声優・タレント
5 考える(Thinking)
みんなで考えよう② ~がんと発達障碍~
Thinking about issues together (2)
Cancer and developmental disorders
UICCが掲げる「誰ひとり取り残さないがん医療」は様々な障碍のある方々も例外なく取り残さないことを目指します。本セッションは、障碍特性に配慮したがん医療の実現を目的に、医療側、障碍当事者側、そして俯瞰的な視点から、発達障碍を抱える患者さんの希望・理解度・社会的状態を確認する体制をいかにして構築するかを考えます。
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清水研(座長)がん研有明病院腫瘍精神科部長
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井上真一郎岡山大学病院精神科神経科助教
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水流聡子東京大学大学院工学研究科特任教授
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中邑賢龍東京大学先端科学技術センター人間支援工学分野教授
6 学ぶ(Learning)
がんを地域で学ぶ ~生涯教育としてのがん教育~
Learning about cancer in the community
Cancer education as lifelong learnin
がんについて知ることはがん予防や早期発見、治療や、身近ながん患者さんを支えるために必要不可欠です。がん教育はがん対策推進基本計画で重要な項目とされ、全国で行われ始めています。本セッションでは学校現場や地域でのがん教育をテーマに「誰ひとり取り残さないがん医療」の実現のため、またがんについての誤ったイメージやがん患者さんへの偏見の払拭のためにどのようながん教育が必要であるかを議論します。
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田島和雄(座長)UICC日本委員会名誉会員・三重大学客員教授・美杉クリニック院長
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加瀬郁子アジアがんフォーラム
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黒崎亮日本婦人科腫瘍学会・埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科講師
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中瀬一則三重大学がんセンターセンター長
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横嶋剛文部科学省 初等中等教育局健康教育・食育課 健康教育調査官
7 闘う(Fighting)
コロナ禍のがん医療① ~大阪の底力~
Cancer care during the COVID-19 pandemic (1)
The latent power of Osaka
コロナ禍では医療と行政の連携の重要性が改めて明らかになりました。そこで本セッションはがん診療連携拠点病院と自治体が、地域という枠組みでどのように連携してこの一年のがん医療を乗り切ってきたのかを振り返り、見出された課題について議論します。大阪国際がんセンターと大阪府健康医療部健康推進室からの報告です。地域が一丸となって闘い抜いた「大阪の底力」をぜひご覧下さい。
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松浦成昭(座長)大阪国際がんセンター総長
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池山晴人大阪国際がんセンターがん相談支援センターセンター長
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岩田知子大阪府健康医療部 健康推進室 健康づくり課 生活習慣病・がん対策グループ
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中谷健志大阪府健康医療部 健康推進室 健康づくり課課長
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宮代勲大阪国際がんセンター がん対策センター所長
8 闘う(Fighting)
コロナ禍のがん医療②
~コロナ禍をがん医療はどう乗り切るのか~
Cancer care during COVID-19 pandemic (2)
How can cancer care overcome the challenges of the pandemic?
コロナ禍がもたらした問題には、新規にもたらされたもののようでいて、一つ一つを見るとわが国のがん医療が抱える既存の問題点が改めて可視化されたものも混在しています。本セッションでは病院から学会、行政、アジア比較とミクロからマクロに至る各レベルから、今何が起きているかそして今後どうすべきかを話し合い、コロナ禍が我々に突き付けた課題とその解決法を模索することで、未来のがん医療への道を拓くことを目指します。
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土岐祐一郎(座長)大阪大学医学部付属病院院長
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岩佐景一郎厚生労働省がん疾病対策課がん対策推進官
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大西洋日本放射線腫瘍学会・山梨大学医学部放射線医学講座教授
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佐野武がん研究会有明病院院長
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松田智大国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター全国がん登録室長
9 闘う(Fighting)
コロナ禍のがん医療③
~岐阜のこの1年を振り返って~
Cancer care during COVID-19 pandemic (3)
Looking back on the past year in Gifu
新型コロナウイルスの流行は医療現場に大きな衝撃をもたらしました。がん医療とて例外ではなく現在進行形で闘いが続いております。本セッションは岐阜大学医学部附属病院を舞台に医師、看護師、薬剤師と各医療職を横断し、診療科をまたぎ、総力を挙げて新型コロナウイルスと闘いながらがんと闘い抜いたこの一年間のドキュメントです。現場からの生の報告をお届けします。
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吉田和弘(座長)UICC日本委員会幹事・岐阜大学医学部附属病院病院長
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大野廉岐阜大学医学部附属病院呼吸器内科学臨床教授
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苅谷三月岐阜大学医学部附属病院看護部長緩和ケアセンターGM・がん看護専門看護師
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鈴木昭夫岐阜大学医学部附属病院薬剤部薬剤部長
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二村学岐阜大学医学部附属病院がんセンター副センター長・乳腺外科長
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牧山明資岐阜大学医学部附属病院がんセンター副センター長
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宮崎龍彦岐阜大学医学部附属病院病理部臨床教授・病理診断科長
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森重健一郎岐阜大学医学部附属病院がんセンター長・産婦人科教授
10 支える(Supporting)
がん在宅医療を支える
~
病院から地域・住み慣れた家へ~
Supporting home-based cancer care
From hospitals to homes and communities that are familiar to people
かつてがんの在宅医療といえば、治療を終了した患者さんの看取りの場というイメージがありました。しかしがん医療の急速な進歩に伴い、治療と並行して行う「治し支える」在宅医療へと進化しつつあります。本セッションでは患者さんを生活者として支えながら治療を行う在宅医療のあり方について各分野の専門家が解説し、入院、通院、在宅という流れの継続性や、地域とコミュニティでいかにして患者さんを支えてゆくかを議論します。
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石谷邦彦(座長)東札幌病院理事長
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大井賢一認定NPO法人がんサポートコミュニティー事務局長、日本臨床死生学会常任理事
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大串祐美子東札幌病院副院長・看護部長
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辻哲夫元厚労省事務次官、東京大学特任教授、日本在宅ケアアライアンス特別顧問
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三宅智東京医科歯科大学がん先端治療部長、臨床腫瘍学分野教授
11 生きる(Living)
私はいま そして これから私は
I am and I will
本年のライトアップ点灯式ゲストの映画俳優・吉永小百合さん主演の在宅医療がテーマである映画「いのちの停車場」が5月に公開されます。本セッションではこの作品を撮られた成島出監督に在宅医療への想いや、ご家族を家で看取れなかった後悔、尊厳ある生と死とは何かという葛藤、そして不思議な巡りあわせと映画仲間に支えられてご自身の小細胞肺がんを克服されたお話などを、在宅医療・がん医療の専門家を交えて語っていただきます。
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垣添忠生(座長)UICC日本委員会幹事・日本対がん協会会長
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成島出映画監督
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堀江重郎日本癌治療学会、順天堂大学医学部泌尿器科学講座教授
12 食べる(Eating)
がんと食・栄養
Cancer and food and nutrition
私たちの体は食べ物で作られており、体調や疾患は食と直接結びついていると言えます。本セッションでは、科学的根拠に基づいたがんを防ぐ食事や、多くのがん患者さんを悩ませる治療中の味覚変化(味を感じる能力の低下や苦み、金属を舐めるような味がするようになるなど)を乗り切る工夫、そしてがんの再発を予防する食生活などを、わが国の食をめぐる状況やがんサバイバーの視点を交えながら解説します。
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佐谷秀行(座長)日本癌学会理事長、慶應義塾大学医学部先端医科学研究所教授
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中村丁次日本栄養士会会長・神奈川県立保健福祉大学学長
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服部幸應服部栄養専門学校校長・理事長
グローバルリーダーズメッセージ
Global Leaders Messages
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Haruhiko SugimuraVice President and Professor, Hamamatsu University School of Medicine
Director of Asia Cancer Forum -
Nobuyuki HamajimaProf. of Department of Healthcare Administration Nagoya University Graduate School of Medicine
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Professor Maqsood Siddiqi, Ph.DChairman, CancerFoundation of India, Kolkata, India & President, Asia Pacific Organisationfor Cancer Prevention
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Yu Mon Saw, MHSc, PhDAssociate Professor Nagoya University Asian Satellite Campuses Institute, Nagoya, Japan
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